石油精製設備

Courtesy of Qatargas Operating Company Limited

ユリカプロセス

石油精製の分野では、価値の低い残油・重質油を分解・改質し、価値が高く需要も高い燃料油(ガソリン・灯油・軽油)をより多く製造することが、近年ますます求められています。

ユリカ®(EUREKA®)プロセスは、石油系減圧残油を原料として、熱分解反応により分解ガス、 付加価値の高い分解留出油及び分解残渣としての芳香族石油ピッチを製造するプロセスです。 分解ガス(オフガス)は脱硫処理後、系内での燃料ガスとして全量使用されるので運転コストの低減を図ることができます。分解留出油は分解軽質油と分解重質油に分留され、それぞれガソリン・軽油の原料油となります。ピッチは固化して製鉄用コークス粘結剤として利用されます。また、液体ピッチのガス化への利用も視野に入れています。

このユリカプロセスは富士石油(株)袖ヶ浦製油所殿向けに第1号基を建設し、現在まで30年以上にわたり順調に稼働しています。その間富士石油(株)殿と各種改良を加えており、共同ライセンサとして技術供与しています。

特徴

コンベンショナルなコーキングプロセス(残油熱分解装置)に比べて、ユリカプロセスには以下のような特徴があります。

反応器への過熱スチーム吹き込み

反応器へ過熱スチームを吹き込む効果は、反応の進行に伴って生成する分解油の蒸気分圧を下げ、過度の分解や重縮合を抑制しますので、分解油が液相に残存せず、結果として高芳香族性のピッチを均質な液状で得ることが出来ます。

反応器残渣(ピッチ)の液体でのハンドリング

このピッチは液体でハンドリング出来る事により、クリーンな現場環境を保てます。

ボイラー燃料としても使用可能

またピッチは、石炭に比べて発熱量が高く、揮発分を多く燃焼性が良いので補助燃料なしでボイラー燃料として使用することが出来ます。また、灰分が少ないので石炭焚きボイラーに設置するクリンカアッシュ設備が不要です。

ガス化原料への適用

ピッチを液体のままハンドリングすることにより、設備費及び運転費が低減されたガス化プロセス原料への適用が期待され、実用化を目指して開発を進めています。

適用可能な範囲

以下のような目的に適しています。

  • 残油を分解改質するとともに、電力をコジェネレーションしたいとき
  • ガス化との併用により、脱硫(石油からの硫黄除去)に必要な水素を多く生産したいとき
  • 超重質原油から合成原油(SCO:Synthetic Crude Oil)を生産したいとき