人権方針
千代田化工建設グループ(以下、千代田グループ)は、人権の尊重は全ての事業活動の基盤となる重要な要素であると位置付けています。
千代田グループでは、「千代田グループ行動規範/千代田グループ役職員行動の手引き」(以下、行動規範)において人権の尊重とその侵害行為の防止、国際的な人権規範の尊重を定めています。
そして、この「行動規範」を遵守し人権を尊重する責任を果たすという千代田グループの姿勢を社内外に明確にコミットするため、2018年9月に「人権基本方針」を策定しました。また、企業活動と人権に関する社会的要請の高まりに応え、人権尊重の取り組みを一層強化するため、2021年4月に「人権基本方針」を改定しました。この改定では、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする人権に関する国際規範や法令の遵守、人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施、千代田グループにおける人権に関する重点課題などについて明文化しました。
「人権基本方針」は、千代田グループの事業活動および取引関係を通じて影響を受ける可能性のあるあらゆる個人・グループを対象としています。また、千代田グループ全ての役員と従業員に適用するとともに、千代田グループの事業活動に関係する全ての取引関係者・ビジネスパートナーやその他関係者にも、「人権基本方針」を理解・支持し、人権の尊重に努めて頂くよう継続して働きかけていきます。
なお、「人権基本方針」は取締役会決議を経て制定・改定したものです。また、外部専門家(J.S. Held Japan LLC (*1))から助言を頂いています。
(*1) J.S. Held Japan LLC:包括的なインテリジェンスおよびビジネス・リスクのソリューションを提供するリーディング・カンパニー。世界中に100以上のオフィス、元政府機関や規制機関、ジャーナリスト、大手コンサルティングファーム出身者など多様なバックグラウンドを有す1500人以上のエキスパートを擁し、グローバル企業や金融機関、政府機関、主要な法律事務所、規制当局に対して独立の提言やリスク、調査、ビジネス・インテリジェンス、定性的なデュー・ディリジェンス、企業調査、人権デュー・ディリジェンスをはじめとしたESGに関する助言、アドバイザリーサービスを提供しています。
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体制
千代田グループにおける人権の取り組みは、サステナビリティ推進体制の下で行われます。
「サステナビリティ委員会」はチーフサステナビリティオフィサー(CSO)である代表取締役会長兼社長が委員長を務め、人権を含むサステナビリティに関わる重点課題をはじめとした諸課題にどう取り組んでいくべきか、中長期目線で集中的・継続的に議論を行い、千代田グループの事業戦略反映に繋げています。
サステナビリティ委員会はCSOの諮問機関とし、原則年2回開催しています。社外サステナビリティアドバイザーに適宜報告/相談しながら、サステナビリティ委員会にて審議した内容を取締役会に報告し、取締役会が適切に監督を行うための体制を構築しています。
また、サステナビリティ委員会の直下のサステナビリティ協議会 ESGワーキンググループにおいて、人権を含めたサステナビリティ重点課題への取り組みの協議検討を行うほか、各事業部の意識向上、アクションのリードを担っています。
人権課題は差別・ハラスメント、児童労働・強制労働、多様性の尊重・ワークライフバランス、労働安全衛生、労働時間・賃金など多岐にわたり、対象範囲も自社だけでなくサプライチェーンを含めた全ての事業活動に及ぶことから、人権尊重に関連する日々の業務は、担当部門(サステナビリティ部門、コンプライアンス部門、人事部門、SQEI部門、調達・建設部門)が関連部門や国内外グループ各社と連携して取り組んでいます。
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人権デュー・ディリジェンスの取り組み
千代田グループは、「人権基本方針」等に基づき、ステークホルダーとの対話や外部専門家との連携を行いながら、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを開始しています。人権デュー・ディリジェンスの取り組みは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って進めています。
人権デュー・ディリジェンスとは、企業のサプライチェーンにおける人権への影響を特定・評価し、防止・軽減・是正に向けた取り組みを計画・実行し、取り組みの実効性を評価し、その進捗・結果について説明・情報開示していくために実施する継続的なプロセスをいいます。
人権への影響評価
人権課題の特定
千代田グループは、人権基本方針の改定にあたり、千代田グループの事業活動が人権に及ぼす潜在的な負の影響の評価を実施し、重点的に取り組んでいく人権課題(*2)を特定しました。
そして、人権を取り巻く状況は常に変化していることを踏まえ、2022年度は外部専門家(J.S. Held Japan LLC)の協力を得て、千代田グループのグループ会社の事業活動内容や規模、各社が事業を行っている国・地域について、人権に関わる国連や各国政府機関、研究機関などが発行している報告書や白書、資料等の最新情報を基にレビューを実施しました。その結果、現時点において重点的に取り組んでいく人権課題の変更はないことを確認しました。
(*2) 「差別・ハラスメントの排除」、「強制労働・児童労働の禁止」、「多様性・ワークライフバランスの尊重」、「労働安全衛生支援」、「労働時間・賃金」、「労働基本権の尊重」、「社会との調和」の7つ。
千代田グループの事業・プロジェクトのリスク評価及び優先順位付け
前述の特定された重点的に取り組んでいく人権課題に関して、J.S. Held Japan LLCの協力のもと、千代田グループが事業を遂行している国を中心に国別の人権リスクマッピング、及び千代田グループの事業別の人権リスク評価を実施し、優先的に人権デュー・ディリジェンスに取り組むべき事業・プロジェクトの特定を行いました。
具体的には、国際的な労働環境評価規格であるSA8000(*3)が要求する8つの事項をベースに、千代田グループが活動する国の人権リスクへの露出度合いを数値化した上で、リスクレベル(High / Medium / Low)ごとのヒートマップを作成しました。さらにSA8000が要求する8つの事項に当社が重視する4つの事項を追加した12項目をベースに、事業ごとの人権リスクへの露出度合いを数値化し、リスク領域を視覚化しました。
これらの国別リスクと事業リスクを掛け合わせた数値をベースに、人権リスクの高い事業・プロジェクトの優先順位付けを行い、更に「収益」「投資額」「従業員数」などの要素を考慮して、人権デュー・ディリジェンスを優先的に実施する事業・プロジェクトを特定しました。
(*3) SA8000は、Social Accountability International(米国のNGO)が公表する労働・人権に関する国際規格です。職場における労働者の権利、労働環境およびマネジメントシステムなど雇用者が満たすべき自主的な要求基準が示されています。
2023年度の取り組み事項
2023年度は、このリスク評価結果を踏まえて、人権デュー・ディリジェンスの実施について中長期的な目標・計画を設定したうえで、プロセスの見直し・改善(特定されたプロジェクトで開始している人権デュープロセスを含む)、及び千代田グループにおける実施体制の構築に取り組む予定です。
負の影響の防止・軽減
プロジェクト遂行を通じた人権尊重の取り組み
千代田グループの主要な事業である建設プロジェクト遂行において、重要な人権テーマとして以下の取り組みを行い、千代田グループのプロジェクト関係者、サプライヤー、地域コミュニティなどのステークホルダーの人権を配慮しています。
児童の人権配慮
千代田グループのプロジェクト遂行国・地域及びサプライチェーンは世界各国にわたりますが、子供は権利を侵害されやすい存在であり、その人権を保護・尊重することは世界共通のテーマです。千代田グループは、「子どもの権利とビジネス原則」などに基づき児童労働の撤廃と防止に取り組んでおり、「人権基本方針」にて児童労働を行わず、これを認めない旨を表明しています。
千代田グループは、「子どもの権利とビジネス原則」などに基づき児童労働の撤廃と防止に取り組んでおり、「人権基本方針」にて児童労働を行わず、これを認めない旨を表明しています。
プロジェクト遂行国・地域における法令基準を遵守するとともに、サプライチェーンにおいても、サプライヤーの児童労働防止のための取り組みについて調査・確認を行っています。
移民労働者・外国人労働者の人権配慮
移民労働者・外国人労働者は、言語、性別、国境を越えて働くこと、非正規労働者であること等から弱い立場に追いやられやすい存在であり、様々な人権侵害が報道されています。
千代田グループが遂行するプロジェクトの建設現場・サプライチェーンにおいても多くの移民労働者・外国人労働者が就労していることから、「人権基本方針」において強制労働の撤廃へのコミットメントを表明するとともに、サプライヤーの強制労働防止の取り組みについても調査・確認を行っています。また、国内外のプロジェクトの現場において、移民労働者・外国人労働者の人権に配慮するための取り組みを行っています。
(移民労働者・外国人労働者の人権に配慮するための取り組みの例)
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サプライヤーにおける移民労働者・外国人労働者の管理体制、生活面を含むサポート体制、情報周知状況などの確認・ヒアリング実施
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掲示物や労働安全衛生に関する教育の多言語対応
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労働者の出身国・地域や宗教などに配慮した食事メニューの提供
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労働者の信教に配慮した設備(モスク、教会など)の配置
サプライヤーと連携した人権配慮
サプライヤーとの取引前に、調査票や書面調査により、人権尊重の取り組みの状況を確認・評価し、懸念事項が確認された場合には、サプライヤーとコミュニケーションを取り、防止・軽減に努めるよう促しています。
また、サプライヤーと締結する契約には、人権尊重の取り組みを担保するための条項を規定しています。二次以降のサプライヤーにも人権尊重の取り組みを担保するための条項を遵守させることを誓約する条項も規定しています。
現時点では海外の主要プロジェクトを対象にこれらの取り組みを実施していますが、今後は人権への影響評価において、人権に負の影響の及ぼす蓋然性が高いと評価されたプロジェクト全般へ対象を拡大していく予定です。
(人権尊重の取り組みの例)
強制労働の禁止、児童労働の禁止、責任ある採用活動、差別の禁止、ハラスメントの禁止、労働安全衛生、賃金・報酬、労働時間、贈収賄の禁止、苦情処理メカニズム等
プロジェクトの現場においては、サプライヤーを対象に労働安全衛生や労働者福祉(workers’ welfare)に関する教育を実施しています。
また、顧客とも連携し、サプライヤーを含む現場の労働者と直接話をする機会(“Talk with Workforce”)や意識調査などを定期的に実施し、得られた意見や調査結果を踏まえて改善に向けた具体的アクションに繋げています。
従業員の安全と武装警備員の地域コミュニティに対する人権配慮
千代田グループは、プロジェクトの遂行において従業員の安全・安心を確保するため、事前に現地調査を実施します。その上で治安等を考慮して、武装警備員を配置することがあります。千代田グループは、警備会社の起用には武器の不適切な使用による人権侵害の潜在的なリスクが伴うことを認識し、銃器の取り扱いや警備員の訓練など適切な管理のできる警備会社を選定しています。また、警備事業活動を行う国・地域の法令や国際的な規範を遵守するとともに、「国連グローバル・コンパクト」や「安全と人権に関する自主的原則」等の国際的な取り決めに沿った警備会社を選定していきます。
従業員への取り組み
千代田グループは、多様性、個性、人格を尊重し、性別、国籍、年齢、宗教等によらず活躍できる環境の整備、支援、意識改革に積極的に取り組んでいます。これはダイバーシティの推進により得られる多様な視点により、組織の柔軟性・対応力が向上すると考えているためです。具体的な取り組みとして、意識改革促進のためのタスクチーム設立、プレイングルーム(礼拝室)の設置、またグローバルな社員獲得のため、外国人留学生向け説明会の開催等を行っています。
女性活躍推進への取り組み
千代田グループでは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」の成立を受け、確実に推進、実行すべく「女性活躍を推進する為の行動計画」を立案し、全従業員に対し周知徹底を図っています。
<女性活躍を推進する為の行動計画>
千代田化工建設は、女性の活躍をより一層推進する為、以下を行動計画として取り組むことを宣言します。
2024年4月-2028年3月 女性活躍推進 数値目標
当社においては育児・介護支援や、在宅勤務、時短勤務、帯同休職制度など、多様性(ダイバーシティ)を持った働き方への対応の中、女性社員の 継続的な能力発揮の為の制度を整えてきました。時代の変化、社会の変化に伴う様々な労働環境下において、次代を担う女性社員の活躍の場の創出と共に、各人の持つ能力の最大限の発揮に向け、今後も継続して社内改革を進めて参ります。広く女性に門戸を拡大し、そこで働く女性社員が様々な環境変化に依らず、長く働き続けられる環境を構築して行きます。
健康経営・ダイバーシティ特別推進室設立
2022年4月、人事部内に健康経営・ダイバーシティ特別推進室を設立しました。2014年より女性の人材育成・活躍に対する意識改革を継続的に行ってきたタスクチームが、この度、正式に会社組織として設置されます。ダイバーシティに関しては、女性活躍推進を主軸にしつつ、女性だけではなく多様な個人が活躍できる千代田グループを目指します。多様な価値観や意見を取り入れることで、変化を恐れない組織へ、イノベーションを創造できる組織へDiversity & Inclusionの実現へ意識改革を推進してまいります。
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労働安全衛生
千代田グループは、「行動規範」で安全で衛生的な職場環境を維持し、従業員の健康と安全の確保に努めることを掲げ、「労働安全衛生・品質・環境(SQE)基本方針」に基づきSQEマネジメントを推進しています。また、「人権基本方針」において、労働安全衛生支援を重要な人権課題の1つとして特定しています。
従業員やサプライヤーが安心して働くことができる労働環境の向上と整備に努めるため、様々な取り組みを行っています。詳細は、サステナビリティ>安全をご参照ください。
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労使間協議
当社の組合員で結成された労働組合と、定期的に対話 (労使協議)を実施し、労働条件などについて討議しています。討議結果は、内容に応じて就業規則の改定などにより反映しています。
千代田グループ内における予防・軽減策
千代田グループでは、「行動規範」や「人権基本方針」などのグループ方針や人権尊重の取り組みがより広く行き渡るよう、千代田グループの役員・従業員に対して周知を図っています。
具体的には、以下のような取り組みを行っています。
- 「千代田グループ従業員ハンドブック」を配布し、グループ方針の周知徹底を図っています。
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- 毎年、千代田グループの全ての役員・従業員向けにコンプライアンスeラーニングを実施しています。コンテンツには人権に関する国際規範、千代田グループの「人権基本方針」・人権尊重への取り組み、ハラスメント、贈収賄、内部通報制度などを含み、役員・従業員は「行動規範」を遵守することを宣誓します。2022年度の受講率は99%でした。
- 2021年、外部専門家(株式会社オウルズコンサルティンググループ 代表取締役CEO 羽生田慶介氏)を招いて、「EPC 事業における人権に関する課題とリスクについて」と題する講演を頂きました。人権尊重へのグローバルな要請の高まりや、企業が人権尊重に取り組むことの重要性などについてお話し頂いたほか、従業員とのパネルディスカッションを通じて、千代田グループにおける具体的な人権課題に関して考え方や対応についても議論させて頂きました。
- 毎年、以下の人権課題に関するセミナーを実施しています。役員・従業員の人権に対する理解を深め、人権に対する負の影響の予防・軽減に努めています。
- ビジネスと人権
- ハラスメント防止
- 贈収賄防止
- 労働安全衛生
- 情報セキュリティ
- 毎年、千代田グループの全ての役員・従業員を対象にコンプライアンス遵守の組織風土調査を実施しています。具体的には、コンプライアンス遵守を妨げる職場環境の有無、マネジメント層からの意識付けへの認識、相談・通報制度の信用度などの項目を匿名アンケートで調査し、各組織のコンプライアンスに関する懸念事項や問題点の適時把握に努めています。また、強みや課題を抽出し、調査結果を各組織へフィードバックし、改善の為の具体的アクションに繋げることで、コンプライアンス遵守の組織風土の強化を図っています。
人権に関する外部イニシアティブへの参画
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
当社は、2012年に「国連グローバル・コンパクト」に署名し、グローバル・コンパクトが掲げる10原則の支持を表明しています。
その一環で、国連グローバル・コンパクトの日本のローカル・ネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」(GCNJ)に参加し、以下の分科会において他の参加企業との議論、取り組みなどに関する情報交換、有識者の講演などを通じて学びを得て、千代田グループにおける取り組みに繋げています。
- サプライチェーン分科会(2014年よりメンバーとして参加。2022年度は、人権デュー・ディリジェンスマニュアルの作成に従事)
- 腐敗防止分科会(2013年よりメンバーとして参加)
- ヒューマンライツ・デューデリジェンス分科会(2022年度オブザーバー参加)
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Building Responsibly
当社は、エンジニアリング会社及び建設会社から構成される「Building Responsibly(*4)」に、2021年からAssociate Memberとして参画しています。定期的に開催される会合や各種ワーキンググループに参加し、労働者の人権に関する課題などについて他の参加企業との議論・意見交換などを通じて、千代田グループにおける労働者の人権の尊重のための取り組みに繋げています。
(*4) Building Responsibly:エンジニアリングや建設分野の企業が中心となり、業界全体の労働者の人権及び福祉の尊重を促進し、ステークホルダーの期待や法的要求に応え、健康的で生産性の高い労働力を維持・管理することを目的として、2017年に設立された団体です。
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是正・救済措置
相談・通報窓口の設置
千代田グループは、苦情処理メカニズムとして、コンプライアンス相談・通報窓口を設置しています。利用者には、千代田グループの役員・従業員だけでなく、千代田グループの取引事業者も含み、匿名での利用も可能です。
職場におけるハラスメントについては、社外専門家に相談・連絡できる窓口も設けています。利用者が具体的な解決を求める場合は、専門家からの連絡に基づき、利用者の意思を確認したうえで、必要かつ適切な対応を行います。
また、千代田グループの全ての役員・従業員を対象として毎年実施しているコンプライアンス遵守の組織風土調査にて、コンプライアンス相談・通報窓口の認知状況を確認しています。2021年度の認知率は91%、2022年の認知率は95%でした。
今後も相談・通報窓口の周知徹底を図るとともに、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が求める要件に照らし、被害者が効果的な救済を受けるための実効性なプロセスの構築や相談・通報制度の改善に努めていきます。
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現場労働者向けアプリの導入
一部の海外プロジェクトでは、顧客やパートナーと連携し、労働者(二次以降のサプライヤーを含む)が人権に関する懸念・苦情を通報できるアプリを導入しています。
具体的には、スマートフォンで二次元コードを読み込むとレポートフォームが表示され、労働者が懸念や苦情を通報できるようにしています。匿名での利用も可能です。英語に加えて、現地語、労働者の主要な出身国・地域の言語など多言語で対応しています。
ポスター、ハンドブック、現場における朝礼やその他会議などを通じてアプリの周知を行っており、利用を促進しています。
(二次元コードの例)
人権に関する問題の是正状況
人権デュー・ディリジェンスを通じて人権に関する問題が特定された場合には、是正・改善と被害者の救済に取り組んでいます。
2022年度にコンプライアンス相談・通報窓口に寄せられた人権(ハラスメントを含む)に関する相談・苦情件数は22件でした。そのうち2件で人権侵害(ハラスメントを含む)を認定し、是正措置を実施しました。
また、2022年度に実施した人権デュー・ディリジェンスにおいて特定された人権に関する問題及びその是正状況は以下の通りです。
(事例)
千代田グループのプロジェクトに従事している工事業者において、就業可能な年齢未満の児童が労働者として当該プロジェクト専用の就労人材データベースに登録されていることが、定期的なモニタリング時に判明した。
千代田グループは、当該工事業者に対して、児童へ賃金の支払及び帰郷に必要な旅費の負担を行ったうえで、当該児童との労働契約を終了するよう要請した。当該児童への賃金の支払いに係る証明書も確認した。
なお、労働契約の終了にあたっては、工事業者において、児童に対して契約解除理由及び就業可能な年齢に達した時点での再雇用が可能であることを事前に説明を行うとともに、帰郷後に児童が適切な生活環境及び親族の庇護下にあることを確認した。
再発防止策として、全ての工事業者に対する説明会を実施し、児童労働を絶対に許容しないとの方針を改めて説明するとともに、採用時に信頼できる身分証明書を用いて年齢をチェックすることを徹底するよう要請し、指示書を発行した。
また、プロジェクト現場において管理している人材データベース(工事業者の労働者を含む全ての現場従事者が受講する就労前安全教育講習実施時に登録を行う)を改良し、就業可能な年齢未満の児童が登録された場合には即時にアラートが上がり、児童労働を把握できる仕組みを構築した。
ステークホルダーとの対話
事業活動全体での人権尊重のために、千代田グループはさまざまなステークホルダーと対話し、人権課題の共有や解決に努めています。
上述の通り、労働組合との対話、現場で働く労働者(サプライヤーの労働者を含む)との対話(“Talk with Workforce”など)、Building Responsiblyにおける対話、「ビジネスと人権」分野に精通した外部専門家との対話を実施しています。