環境への取り組み方針
当社は、創立以来、「エネルギーと環境の調和」を経営理念に掲げ、事業を推進してきました。パリ協定に端を発し、国際社会が目指す低炭素社会への移行期の中で、事業を通じた気候変動対策は経営上の重要課題と認識しています。このグローバル課題に、当社は培ってきたエンジニアリング技術で新たなとデジタル革新技術でイノベーション創出し、炭素循環型社会へその役割を果たしていきます。
社会価値と経済価値を両立させた持続可能な社会を実現していくミッションを担うべく、2022年4月カーボンニュートラル宣言を策定しました。
今後も課題解決に向け、事業を通じて炭素循環型社会を推進するため、再生可能エネルギーへの取組を強化するとともに、水素サプライチェーンによるエネルギー提供や分散・複合型ユーティリティビジネスの確立への挑戦に加え、GHG排出量の削減と循環を実現する技術開発を進めていきます。
また、当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同すると共にTCFD提言に沿った情報開示に積極的に取り組んでいきます。
* Carbon dioxide Capture and Storageの略。二酸化炭素回収・貯留
TCFDへの取り組み
当社は2019年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しました。環境省が推進する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参画し、気候関連シナリオ分析のトライアルを実施しました。今後、シナリオ分析を深めて、当社の経営戦略に活かすとともに、TCFDの提言に基づき積極的に情報開示を進めていきます。
シナリオ分析は下記を参照ください。
環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイドver2.0~」
3-29~3-36
外部リンク
シナリオ分析の前提
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分析の前提 | 対象 |
---|---|
ターゲット | 2040年 |
シナリオ | 2℃シナリオ:気候変動対策を推進(例 炭素税の導入など) 4℃シナリオ:気候変動対策なしの成り行き(例 炭素税などの導入なし) |
分析参照データ | WEO*1 2019年のデータ(不足分はその他のデータを使用) |
分析対象セクター | LNG /グリーンエネルギーEPC 水素、CCU*2、分散型複合ユーティリティなどの非EPC |
財務データ | 中期経営計画(再生計画)で開示している2023年までの事業計画をベースに2040年まで伸長 |
- 1 国際エネルギー機関(IEA)が毎年秋に発表する「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)」
- 2 Carbon dioxide Capture and Storageの略。二酸化炭素回収・貯留
インパクト試算
インパクト試算を踏まえた対応策の方針については当社の事業戦略である地球環境事業、デジタルトランスフォーメーション、エンジニアリング価値の再定義の加速に取り込んで推進中です。
●4℃シナリオ:低炭素化・炭素循環は推進されず、化石燃料への依存が継続
●2℃シナリオ:低炭素化・炭素循環が推進され、グリーンエネルギー設備への需要が増加し、水素・CCUの導入が進む
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試算項目 (当社へのインパクト) | 2℃ | 4℃ | 対応策の方針 |
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LNG | ⇒ | ⇗ | 事業構造の変化に対応したサービスの提供 |
石油・化石燃料プラント | ⇘ | ⇒ | デジタルAI技術を利用した顧客資産最適化へ対応 |
水素 | ⇗ | - | 低炭素・炭素循環のニーズが高まることから、市場への早期参入、シェア確保 |
CCU | ⇗ | - | |
グリーンエネルギープラント | ⇗ | ⇒ | 今後のトレンドを踏まえ、ユーティリティ事業を展開 |
環境との共生を目指すプロジェクト
世界最大規模・最先端の蓄電池設備の建設
●再生可能エネルギー電力の供給安定化
炭素循環社会の潮流に合わせて太陽光や風力などの再生可能エネルギー活用の普及が進んでいます。再生可能エネルギーは発電量が天候や自然環境の影響を受けるため、電力供給が不安定になりがちです。この解決策の一つとして、大規模な蓄電池を電力系統(発電所から送配電までの電力の全体システム)につないで、電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電することで、電力供給を安定化させる取り組みが進められています。
当社グループは2023年3月、北海道にて世界最大級の蓄電池システムである北豊富変電所蓄電池システムを完工、引き渡しを完了しました。蓄電池システムは、北海道北部風力送電(株)の送電網の一部として、不安定な風車の出力の変動を緩和し、電力系統の安定化に重要な役割を担います。最終的には出力540MWの風力発電が連系され、北海道の風力発電容量が倍増される計画です。受注前から受注後EPC遂行・完工まで5年を超える期間、北海道最北の地の厳しいプロジェクトにおける数々の困難を乗り越えて、新たに20年間の保守業務にも取り組んでいます。今後はエネルギーマネジメント事業の運転・保守業務にも参画し、カーボンニュートラル実現に貢献していきます。
技術によるCO₂排出量削減に貢献
●エネルギーと環境の調和
エネルギーの安定供給とトランジションエネルギーとして需要が高まるLNG分野で、今後の大きな開発コンセプトであるCO₂排出量を削減するCleaner LNGの推進により、サプライチェーンでのCO₂削減(Scope 3)に貢献しています。
▶カタールNFE LNG <建設中>
大規模CCS設備・排熱回収設備の導入により、操業時のCO₂排出量を25%削減。
▶米国・フリーポートLNG <完工>
ガス冷却装置に、従来のガスタービン駆動式でなく、電動モーター駆動式(E-Drive)を導入することで、CO₂排出量の48%削減を達成。