BOG再液化システム
LNGタンク内に貯蔵されたLNGの沸点は約-160℃と極低温で、タンク外部からの自然入熱によってLNGの一部がガス化することは避けられません。このガスをBOG(ボイルオフガス)と称し、このBOGを処理する方法の一つとして、LNG冷熱を利用してBOGを液化させるBOG再液化システムがあります。
BOG再液化システムでは、LNGタンク内圧力と同程度(0.1barG)のBOGを、まずBOG圧縮機で10barG程度まで昇圧し、次にBOG冷却器で液化させ(再液化BOG)、送出ポンプによってセカンダリーポンプの上流側で再液化BOG(液体)をLNG(液体)ラインに合流させます。
一方、BOG再液化システムを導入しない場合には、大型のBOG圧縮機によって都市ガスや発電所燃料系統へ直接送出する為、ガスと同等圧力(約30-90barG)まで昇圧します。
ここで、動力の利用量を比較してみます。BOG再液化設備を導入した場合は、圧縮機にて10barG に加えて、ポンプにて残りの20-80 barG分昇圧します。導入しない場合は、圧縮機にて30-90barG昇圧します。液体のポンプより気体の圧縮機の方が効率が低いため、昇圧にかかる動力は非常に大きくなる特性があります。これにより、再液化を導入すると運転動力(消費電気量)が大幅に少なくなります。また、BOG再液化設備の圧縮機の昇圧能力が10barGで良いので、圧縮機を小さくできます。以上より、BOG再液化設備を導入することで、継続して大幅に運転コストを抑えることができます。
BOG再液化システムの一例を下記の図に示します。
≪間接熱交換方式≫
特徴
BOG再液化システム技術をLNG受入基地に適用することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 再液化BOGをLNGタンクに戻すことによる"貯蔵LNG濃縮抑制"
- 圧縮機動力削減による"省エネルギー"
- BOG再液化処理方法は様々(直接接触熱交と間接熱交等)あり、弊社はその中から“お客様に最も適した設備の選定”をします。
この設備は送ガス圧力が高い基地ほど省エネルギーの効果を高めることができます。
適用可能な範囲
LNG受入基地であれば、どのようなものであっても適用可能です。