石油精製設備

Courtesy of Qatargas Operating Company Limited

水素化脱硫触媒(CT-HBT®)

日本、北米、EU等において、軽油中の硫黄濃度は、10-15ppmというサルファーフリーレベルに規制されています。
弊社はこれに対応可能な灯油/軽油向けの水素化脱硫触媒、CT-HBT®を開発しました。
水素化脱硫触媒CT-HBT®は、アルミナとチタニアを理想的に組合せたハイブリッドチタニア技術による優れた触媒特性を備え、流動接触分解装置(FCC)で生成する分解軽油(LCO)等の難脱硫性の原料油に対しても、安定した高い脱硫性能を発揮します。
弊社はCT-HBT®の成果に対し、平成29年度触媒工業協会技術賞を受賞しました。

特徴

高濃度LCO・原料油処理“最大30%”

流動接触分解装置(FCC)で生成する分解軽油(LCO)を製品軽油に転換するためには、製品軽油の硫黄濃度を10ppm以下に低減させる高性能かつ長期使用可能な水素化脱硫(HDS)触媒が必要です。

弊社が開発したHDS触媒CT-HBT®は、商業実績において“最大30%”もの高濃度LCO原料油の処理を実現しました。

対応可能LCO濃度の比較例

従来より1.5倍の原料油処理能力

CT-HBT®は担体にアルミナを用いる従来のコバルト・モリブデン担持触媒(アルミナ触媒)と比べて、HDS活性は1.5倍高くなります(当社比較)。

直留軽油の水素化(HDS)処理

触媒寿命の長期化

CT-HBT®は処理原料油の性状によっても変わりますが、直留軽油のHDS処理において、従来アルミナ触媒よりも約10℃低い反応温度での運転が可能です。また、高いHDS活性が安定して発現することから、長期にわたっての使用が可能です。

触媒寿命(当社比較)

灯油HDS対応

CT-HBT®は灯油のHDS処理でも高い適用性を発揮します。
FCCで生成する分解灯油(LLCO)を混合した灯油処理では、商業運転において“最大15%”のLLCO原料油の安定処理に対応しています。

CT-HBT®のコンセプトと特性
チタニアを担体に用いる触媒では単位比表面積当りにおけるHDS活性が高い利点がある一方、アルミナ担体の触媒と比較して、「比表面積が著しく小さい」、「充填密度が大きい」、「触媒強度が小さい」、「高コストである」等の欠点により商業化されていませんでした。
CT-HBT®は弊社独自の技術によって「反応性の優れたチタニア」と「物性・経済性に優れたアルミナ」の理想的なハイブリッド化を達成しました。
これによって、アルミナが持つ充填密度と強度を保持しつつ、従来のアルミナ触媒よりも大幅なHDS反応性の向上を実現しました。

CT-HBT®の構造
CT-HBT®の高いHDS活性は、担体の一次粒子が特殊なナノ針状粒子で構成されていることがキーポイントとなっています。このナノ粒子状物質では、高い比表面積を有するアルミナがコアとなり、外表面がチタニアの薄層でコーティングされているので、単位比表面積当りのHDS反応性にはチタニアによる優れた担体効果が発現します。本触媒では高い比表面積のアルミナにチタニアの担体効果を付与することで、高いHDS活性を達成しました。
また、材料として比較的高価なチタニアの使用量をシビアに低減し、リーズナブルな価格を実現しました。

CT-HBT®の商業一号機は西部石油(株)山口製油所の灯油/軽油水素化脱硫装置に採用され、軽油モードで積算2年間、灯油モードで積算1年間の運転を達成しました。特に軽油生産では、LCOが30%となる原料油の処理に対応しました。