滞留還元法セレン処理プロセス
滞留還元法セレン処理プロセスは、北陸電力(株)と千代田の共同研究を経て開発した高性能な金属繊維形成体を使用した画期的なプロセスです。
セレン除去方法概要
滞留還元法は、空気による鉄の溶解反応によりセレンを還元し水酸化鉄として固定化するプロセスです。金属表面に生成・付着する水酸化鉄は、定期的に行なわれる空気洗浄操作により容易にはく離できるため、充てんした金属繊維形成体は歩留まり無く完全に消費され、安定した連続運転が可能です。
金属繊維形成体の反応リサイクル

プロセスフロー
一塔式によるセレンの還元・固定化の実現によりシンプルなフローを特徴としています。

特徴
高いセレン除去性能
金属繊維形成体の膨大な表面積と滞留還元槽の高い接触効率により99%以上の除去率を達成することができます。
安価な建設費、運転費
還元・中和・酸化操作を一塔化することで補機点数を削減し、建設費を一般的な金属鉄還元方式と比較しての10~20%削減しました。また、高効率システムの開発によって金属繊維形成体消費量及びスラッジ発生量を一般的な金属鉄還元方式と比較して約40%削減しました。さらに酸の添加や排水の加熱が不要なため、一般的な金属鉄還元方式と比較して運転費を30~40%削減しました。
再溶出しないスラッジとして固定化
中性領域付近での運転により3価水酸化鉄への転化が容易になり、セレンを安定したスラッジに固定化できます。
容易な運転管理
金属繊維形成体を充てんした滞留還元槽に排水を通すだけでセレン処理が可能なため、運転が非常に簡単です。
高い負荷追従性
滞留時間の制御及び反応促進用空気流量の制御により容易に負荷追従が可能です。
容易な既設への適用
シンプルな装置で補機点数も少ないことから、既設設備への適用が容易です。
適用可能な範囲
石炭火力発電所や非鉄金属精錬プラント、セメント製造プラント排水中のセレン処理に適用が可能です。