LNG(液化天然ガス)プラント
LNGプラントの低炭素化をリードし、クリーンエネルギーの安定供給に貢献
LNG~エネルギーの安定供給と脱炭素への移行期のエネルギーの両方の観点からの重要性~
LNG(Liquefied Natural Gas)とは液化天然ガスのことで、メタンを主成分とした天然ガスを冷却することで液体にしたものです。マイナス162℃まで冷却することで天然ガスの体積が約600分の1に大幅に減少し、大量輸送・貯蔵が出来るため、エネルギーとしての供給安定性に優れており、世界中で燃料として利用されています。
また、CO2(二酸化炭素)、酸性雨や大気汚染の原因となるSOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)などの環境汚染物質の排出量が少なく、化石燃料の中で環境への負荷が相対的に低いクリーンなエネルギーです。
LNGは、こうした利点を有することから、脱炭素社会への移行が大きな社会課題である中、人口増加・経済発展に伴うクリーンエネルギーの安定供給と、脱炭素に向けた移行期のエネルギー(トランジションエネルギー)の両方の観点から重要性が高まっており、今後も安定的に需要が伸びていくことが見込まれます。
LNGプラント建設のリーディングカンパニーとしての実績を糧に、LNGバリューチェーンにおける最適なソリューションを提供
天然ガスをマイナス162℃まで冷却・液化するLNGプラントの建設は、高度な技術力とプロジェクト遂行力が求められます。
当社グループは1976年にUAEで初めてのLNGプラントを完成させて以来、ガス田採掘技術の発展やLNG需要の拡大に伴いLNGプラントの複雑化・大型化・高度化が進む中、世界各地においてLNGプラントの設計・建設を手掛け、産ガス国の経済発展や日本をはじめとしてエネルギーの安定供給に貢献してきました。当社グループはLNGプラント建設でリーディングカンパニーの地位を確立しています。
ガス田採掘技術の発展およびLNG需要の拡大に伴い、LNG製造過程やその使用形態は多様化が進んでいます。当社グループは、ガス開発₋LNGプラント₋LNG受入設備₋再ガス化₋発電設備等からなるLNGバリューチェーンにおいて最適なソリューションを提供します。
LNGプラントのEPC実績(2024年3月末現在)
26プロジェクト/47系列、生産量220百万トン/年
地域 | 国名 | プロジェクト数 (EPC遂行案件数) |
系列数 | 生産量 (百万トン/年) |
---|---|---|---|---|
中東 | カタール | 8 | 16 | 101.9 |
オマーン | 2 | 3 | 9.9 | |
U.A.E | 2 | 3 | 4.7 | |
北米 | アメリカ | 4 | 9 | 43.0 |
アジア・豪州 | インドネシア | 5 | 6 | 14.2 |
オーストラリア | 1 | 2 | 8.9 | |
パプアニューギニア | 1 | 2 | 6.9 | |
欧州・ロシア | ロシア | 2 | 5 | 26.1 |
アフリカ | アルジェリア | 1 | 1 | 4.7 |
合計 | 26 | 47 | 220.3 |
- EPC(設計・調達・建設)遂行中の案件も含む
様々な液化方式に対応
LNGプラントにおいて天然ガスは冷媒を用いて冷却され液化されますが、冷媒の種類などによりC3-MR (Propane (C3) pre-cooled Mixed Refrigerant) 、SMR (Single Mixed Refrigerant) 、DMR (Dual Mixed Refrigerant) 、AP-Xなど様々な液化方式が存在します。LNGの生産量や建設地などにより最適な液化方式は変わり、当社グループはこれらのプロセスの選定に関する検討から設計・建設までの幅広い経験を有しています。
天然ガスの液化工程においては心臓部である主熱交換器、冷媒圧縮機、駆動機、冷媒の冷却に用いる熱交換器などの様々な機器が使用されています。これらの機器を用いて、天然ガスを予冷・凝縮・過冷却することでLNGを生産します。
代表的なC3-MRプロセスでは、天然ガスの予冷にはプロパン冷媒が使用され、凝縮・過冷却には混合冷媒が使用されます。また、混合冷媒の冷却にもプロパン冷媒が使用されます。天然ガスの組成に応じて混合冷媒の組成を調整することで効率の良い運転を実現するプロセスです。
一般的なLNGの液化プロセス

CO2排出量削減に貢献するLNGプラントの推進
脱炭素社会の実現に向けて、今後のLNGプラントの大きな開発コンセプトとして、CO2排出量を削減する、より環境にやさしいCleaner LNGプラントのニーズが高まるとみられます。当社グループは、Cleaner LNGプラントの建設において、大規模CCS(Carbon dioxide Capture and Storage の略、二酸化炭素の回収・貯留)や、大型電動モーターの導入で、操業時のCO2排出量を削減する先駆的な実績を有しています。また、海水を用いた水冷式熱交換器に代わって、空冷式熱交換器を採用することによる環境負荷低減も行っています。
今後、こうした実績で得た知見を活かして、案件の初期段階から顧客とCleaner LNGプラントのコンセプトの開発を推進していきます。また、LNGプラントの効率化や信頼性の確保だけでなく、運転の最適化、保守点検も含めたライフ・サイクル視点での設計に取り組んでいくことで、よりクリーンなLNGの安定供給と脱炭素の両立に貢献していきます。
LNGプラントにおける主な環境負荷低減の取り組みの事例
