LOHC-MCHシステム

SPERA水素で未来を創る

水素技術開発の歴史

当社グループは2002年に脱水素触媒の開発を開始し、2011年に開発に成功、2014年には10,000時間の継続運転によるパイロット試験で実証を終えました。この技術確立から、2020年に世界初の国際水素サプライチェーン実証事業を完了し、商用化に向けて更なるコスト低減のための技術改良、技術開発を進めています。

水素技術開発の歴史

MCHを用いた水素サプライチェーン循環システム

当社グループは液体有機水素キャリア(LOHC:Liquid Organic Hydrogen Carrier)であるMCH(methylcyclohexane, メチルシクロヘキサン)を用いた水素の輸送・貯蔵する(「はこぶ」「ためる」)技術を開発、確立しました。
MCHは常温・常圧で取り扱うことが出来る液体で、医薬品などの製造における溶剤、修正液の溶剤など幅広く使用されており、水素ガスと比べると体積当たり530倍の水素を含んでいるため効率よく安全に水素を運ぶことができます。

水素供給国で水素をトルエンと化合し、MCHを生成します(トルエンの水素化)。MCHはタンカーなどで需要国まで海上輸送します。需要国で、当社グループが開発した脱水素触媒によりMCHから水素を取り出し(MCHの脱水素)、需要家に供給します。MCHの脱水素工程で生成・回収されたトルエンは、帰りのタンカーなどで供給国に海上輸送され、再びMCHを製造する原料として水素化プロセスに循環利用されます。

当社グループはこのMCHをラテン語で“希望せよ”を意味する「SPERA」(スペラ)を関して「SPERA水素TM」と名付け、このシステム全体を「SPERA水素システム」と呼んでいます。

SPERA水素システムは、世界中どこでも利用可能な水素の貯蔵・輸送方法です。

水素の貯蔵・輸送方法

MCHの特徴

MCHは、①常温・常圧の液体であること、②化学的に安定していること、③取扱が容易あり、水素の長距離の効率的な輸送(はこぶ)と長期貯蔵(ためる)が可能となること、④輸送する手段としてケミカルタンカーや従来の石油貯蔵タンクなど、既存のインフラを活用することで、初期投資コストも最小限に抑えることが可能という強みがあります。

これらの強みから、MCHは、水素キャリアに求められる要件、➀安全であること、②安定していて長期の備蓄が可能であること、③既存のインフラを最大活用できること、④経済性が成り立つこと、を充足しており、水素社会実現に向けた現実的なソリューションであるといえます。

MCHの特徴

Axens社との水素サプライチェーンに関する戦略的商業協力

トルエン水素化技術を有するフランスAxens社と戦略的商業協力の契約を締結しています。Axens社のトルエン水素化技術は、最適化されたエネルギー効率でトルエンと水素から高純度のMCHを製造することができます。当社グループのMCH脱水素技術は、MCHから水素とトルエンを高い転化率と選択率で製造することができます。両社の技術・強みをワンストップで提供することで、LOHC-MCHによる水素サプライチェーン構築のソリューションを提供します。

グローバル展開

Axens社との水素サプライチェーンに関する戦略的商業協力について

事業紹介