気候変動
基本的な考え方
気候変動対応に関する考え方および取り組み
当社グループにとって、地球環境や人間・企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、リスクであると同時に、新たな事業機会をもたらすものと考えています。時代を捉えてグローバルな課題解決に取り組んできた歴史の中で、気候変動対応は、当社が掲げる「社会の"かなえたい"を共創(エンジニアリング)する」とも密接に繋がっている重要な経営課題の一つです。SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成への貢献を目指し、当社グループ各社としっかりと連携を取りつつ、政府・企業・業界団体等の幅広いステークホルダーとの協働を通して、本課題に取り組んでいきます。また、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を支持するとともに、TCFDに沿った情報開示の拡充に取り組んでいきます。
TCFD提言への対応
当社は2019年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しました。環境省が推進する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に参画し、気候関連シナリオ分析のトライアルを実施しました。今後、シナリオ分析を深めて、当社の経営戦略に活かすとともに、TCFDの提言に基づき積極的に情報開示を進めていきます。
シナリオ分析は下記を参照ください。
環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイドver2.0~」 3-29~3-36ガバナンス
我が国が目指す2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた脱炭素社会への移行が加速する今こそ、事業ポートフォリオを着実に革新し、持続可能な社会の発展への貢献を通じて、企業価値の向上を図ることこそが私たちのサステナビリティであると考えています。
当社グループにおけるサステナビリティの更なる深化を目指し、企業価値向上とともに、持続可能な成長達成に向けて、CSO(Chief Sustainability Officer、社長が兼務)のもと、サステナビリティ委員会を2022年4月に設立しました。サステナビリティを経営の中枢に据え、中長期視点からESGテーマである気候変動対応、人権・サプライチェーンマネジメント、Diversification、健康経営等に係る取り組みを、サステナビリティ委員会にて集中的・継続的に議論を行っています。サステナビリティ委員会はCSOの諮問機関とし、原則年2回開催、当委員会にて審議した内容を取締役会に報告し、取締役会が適切に監督を行うための体制を構築しています。
サステナビリティ推進体制図

戦略
シナリオ分析の前提
分析の前提 | 対象 |
---|---|
ターゲット | 2040年 |
シナリオ | 2℃シナリオ:気候変動対策を推進(例 炭素税の導入など) 4℃シナリオ:気候変動対策なしの成り行き(例 炭素税などの導入なし) |
分析参照データ |
WEO*1 2019年のデータ(不足分はその他のデータを使用) |
分析対象セクター | LNG /グリーンエネルギーEPC 水素、CCU*2、分散型複合ユーティリティなどの非EPC |
財務データ | 中期経営計画(再生計画)で開示している2023年までの事業計画をベースに2040年まで伸長 |
- 国際エネルギー機関(IEA)が毎年秋に発表する「世界エネルギー展望(World Energy Outlook)」
- Carbon dioxide Capture and Utilizationの略。二酸化炭素回収・利用
リスクと機会
インパクト試算を踏まえた対応策の方針については2022年4月に設立したサステナビリティ委員会のもと、気候変動を含むさまざまなリスクおよび機会の評価を行うともに、GHG(温室効果ガス)排出量管理について、社内関連部署が中心となり、設定した目標の達成に向けての取り組み推進およびその進捗状況の管理に努めていきます。
- 4℃シナリオ:低炭素化・炭素循環は推進されず、化石燃料への依存が継続
- 2℃シナリオ:低炭素化・炭素循環が推進され、グリーンエネルギー設備への需要が増加し、水素・CCUの導入が進む
試算項目 (当社へのインパクト) | 2℃ | 4℃ | 対応策の方針 |
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LNG | ⇒ | ⇗ | 事業構造の変化に対応したサービスの提供 |
石油・化石燃料プラント | ⇘ | ⇒ | デジタルAI技術を利用した顧客資産最適化へ対応 |
水素 | ⇗ | - | 低炭素・炭素循環のニーズが高まることから、市場への早期参入、シェア確保 |
CCU | ⇗ | - | |
グリーンエネルギープラント | ⇗ | ⇒ | 今後のトレンドを踏まえ、ユーティリティ事業を展開 |
トランジション戦略

指標および目標
カーボンニュートラル宣言
「エネルギーと環境の調和」のビジョンのもと、
エンジニアリングの総合力にデジタル革新技術を活用し、
2050年カーボンニュートラルの実現に貢献します。
目標年度 | Scope1、2 | Scope3 |
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2030年度 中期目標 |
2020年度比GHG排出量50%削減 | "削減"と"循環"の両輪で脱炭素・循環型社会の実現に貢献する。 |
2050年度 長期目標 |
GHG排出量ネットゼロ |
- GHG:Greenhouse Gas、温室効果ガス
- 2030年度中期目標は、オフィス(みなとみらい本社、子安リサーチパーク)のScope1、2については、自社努力で達成していく。国内外の建設現場においては、顧客やパートナー、サプライヤーに働きかけ、一体となって削減を目指していく。
- Scope3においては、ステークホルダーと協同してGHG排出量削減に努めるとともに、高度な技術と社会実装力で炭素循環型社会の実現を目指していく。
- GHG排出量の削減目標に係る削減計画や施策は、技術発展・経済性・政策/制度支援などの進捗に応じて柔軟に見直す。