硫黄回収プロセス(Claus)
AGRプロセスにて除去されたH2Sは酸性ガス(acid gas)※として硫黄回収装置(SRU)へ運ばれます。硫黄回収装置ではClaus反応(添付図参照)によりH2Sを単体硫黄として回収します。反応は火炎反応段と触媒反応段に分かれます。前者は高性能のバーナーと混合室、熱除去ボイラーから構成され、後者は通常2-3段の反応器を有します。Clausプロセスの硫黄回収率は95-97%です。未回収の硫黄を含んだテールガスはTGT(Tail Gas Treating)装置へ運ばれます。回収された硫黄は硫黄ピットに貯蔵され、溶存しているH2Sを除去する脱ガス操作を受けて、製品として液出荷されます。 クラウスプロセスは、原料ガスの性状に応じた適切なバーナーを選定すること、また回収率、寿命の観点から触媒の選定が重要です。
クラウス(Claus)プロセスは平衡プロセスですが、その変形で最終段に直接酸化触媒を具備したものはスーパークラウス(Superclaus)プロセスと呼ばれ、クラウスの平衡から脱却することで、TGT装置なしで99%程度の回収率が得られます(ライセンサ:Worley Comprimo社)。当社グループはWorley Comprimo社と国内で独占契約を締結していることから、スーパークラウスプロセスを扱うことができる唯一のエンジニアリングコントラクターとなっています。

特徴
- 多くの実績から得た知見から、バーナー、触媒の選定を含め、当社グループ独自で設計することも可能です。
- クラウスプロセスとTGT(テールガス処理)設備との併用で、99.9%の硫黄回収率の実現が可能です。(なお、スーパークラウスとTGTの併用はありません)
適用可能な範囲
50%以上の硫化水素(H2S)を含む酸性ガス処理に適しています。
- 酸性ガス中のH2S/CO2比が低く、H2S濃度が50%を下回るような場合は、アミン溶液によるAGE(Acid Gas Enrichment)プロセスをAGRプロセスからの酸性ガスに適用してH2S濃度を上げます。AGEはAGRと同様なアミン溶液を用いたプロセスですが、アミンの種類や濃度、アミンとガスとの接触時間を最適化することでH2Sの選択吸収性を高めてH2Sを濃縮するプロセスです。
最近の例としてアミン溶液にはH2S選択性に優れたExxonMobil/BASFのFlexsorb SE+が採用されています。
カタールを例にLNGプラントにはAGEが設置されており、結果当社グループのAGEの実績は唯一無二のものです。