解析技術による高度設計技術
ダイナミックシミュレーション
プラントの異常発生時や立ち上げ時、緊急停止時の挙動を、冷凍コンプレッサなどを含めたプラントの詳細な設備モデルを構築してシミュレーションを行うことにより把握し、機器設計やシステムの安全対策の正当性の確認に利用します。そのほかにもキーとなるシステムの挙動把握に多用されています。

CFD解析技術(Computational Fluid Dynamics)
LNGプラント内機器の性能や健全性を評価するために、CFD解析用の装置モデルを作り、流れ解析を行います。これにより、複雑な流れ場を可視化し、改善案を立案することで、安全で高効率な機器設計を行います。例えば、空冷式の熱交換器を用いる場合には、周辺機器からの排熱や気流の影響によって機器性能およびLNGの生産量が低下しないよう、最適な機器配置や対策の検討を行います。また、CFD解析を単なる熱と流れの解析だけではなく、混相流・燃焼・化学反応・攪拌といった非常に複雑な現象の解析にも適用し、実装置の設計・開発に直結した質の高い総合的な技術的検討・問題解決を行っています。これらの検討により、プラントの高効率化を実現し、環境への負荷低減に貢献しています。
空冷式熱交換器周りの高温排気のCFD解析

構造解析技術
機器や配管及びそれらを支える構造物の強度チェック(応力はもちろんのこと変形も予測)やFlow Induced Vibration (FIV) / Acoustically Induced Vibration(AIV) を含む振動に対する機器や配管の健全性評価を実施しています。特に緊急脱圧時の配管の健全性評価に関しては、独自に開発したFIV/AIV評価技術を基に、国際規格の改定にも貢献しており、より安全で経済的なプラントを設計すべく、本分野において産業界をリードしています。
CFD解析と構造解析の連成解析によるFlow Induced Vibrationの検討

火災・爆発・拡散影響解析技術
プラントの3Dモデルを活用した火災・爆発・拡散影響解析技術は、設備の火災、爆発や可燃性/毒性ガスの拡散に対する影響評価に利用されます。高度なCFD解析により、火災や爆発の影響範囲、そして可燃性/毒性ガスの拡散範囲をより正確に可視化でき、安全性と経済性を両立したプラントの設計を実現します。


特徴
LNGプラントのような大型プラントでは、より高い操業の安定性が要求されます。このため、より高い設計精度と安全への配慮が必要となり、さらに従来の設計手法が単純に適用できない場面にも度々遭遇します。言い換えれば、従来の一般化された設計手法(Design by Rule)だけではなく、設計の各ステージで必要に応じて解析を実施する手法(Design by Analysis)の適用の必要性が高まっています。
当社グループは上記に示すような高度な設計技術を開発し実際の設計に適用することで、設備の安全性を高め、トラブル防止によるプラントの稼働率の向上ならびに装置の高効率化により、操業中の環境負荷低減に貢献しています。
適用可能な範囲
ダイナミックシミュレーション
- 冷凍系:冷凍コンプレッサの緊急停止、再起動、バイパスバルブの要否検討。並列コンプレッサの停止、起動、繋ぎこみ。
- 液化系:液化器停止時のLNG温度変動の確認。
- スチーム系:スチームタービン停止・起動時の手順確認(ボイラ、レットダウン量、スチームタービンバイパスの挙動)。スチームユーザー停止時の挙動確認。
- 燃料ガス系:燃料ガスコンプレッサ停止時の系内圧力変動の確認。
CFD解析技術
- 空冷式熱交換器周りの高温排気拡散解析
- フレアやベントからの高温排気の拡散解析
- 配管および各種機器(ドラム、カラム、熱交換器)内の熱流動状況評価
構造解析技術
- 熱応力に対する機器/配管健全性評価
- FIV/AIV等の振動に対する機器/配管健全性評価
火災・爆発・拡散影響解析技術
- 漏洩・拡散解析による可燃性ガス雲サイズ、毒性ガス影響範囲等の評価
- プール火災、ジェット火災等による影響範囲評価
- ガス爆発による影響範囲評価