VPP/DR技術

当社グループのVPP/DR技術

VPP/DR技術の価値

事業者が保有する負荷設備(電力によって稼働する設備)、蓄電設備、発電設備といった産業設備は、電力の需給バランス調整に貢献できる可能性を秘めた貴重なエネルギーリソースです。当社グループはそのエネルギーリソースが持つ特性を理解し、潜在価値を最大限に引き出し、市場取引を通じて経済価値にして、事業者に還元します。従来は大規模発電所が担っていた役割の一部を、各事業者の負荷設備、蓄電設備、発電設備において担うことを可能にする技術が当社グループのVPP/DR技術です。

VPP/DR技術の概要

VPP/DR技術は、1.予測機能、2.リソース運転支援機能、3.市場取引戦略最適化機能といった構成要素に分解することができます。以下ではそれぞれの機能について説明します。これらの機能を組み合わせることで、エネルギーリソースが持つ潜在価値を最大限に引き出すことが可能になります。

1.予測機能

  • 需要予測機能
    負荷設備の稼働状況、運転計画等を基に、受電点における将来の需要量を予測する機能です。電力の需給バランス調整への貢献度合いは、本来使用する‘はずだった’電力(基準値、またはベースラインと言います)を基準として、そこからの差分が貢献分として評価される仕組みになっています。精度の高い需要予測により、貢献度合いを過不足なく評価することが可能になります。
  • 発電量予測機能
    電力の需給バランスを取るために、供給側である発電所には基本的に発電計画の提出が求められています。火力発電の様な安定電源では計画に沿った発電を行うことは比較的容易ですが、太陽光や風力といった変動電源では計画に沿った発電を能動的に行うことは困難です。発電計画と発電実績に差異が生じた場合、インバランス料金を支払う必要がありますが、変動電源においては天候予測等を基に精度の高い発電量予測を行うことで、発電計画を精緻にし、このインバランス料金の支払いを最小化することが可能になります。
  • 市場価格予測機能
    電力市場(卸電力市場、需給調整市場)の価格は、日々のエリア毎の電力の需給予測、天候、燃料価格と相関するため、これらのデータを入力することで精度の高い市場価格予測を組み立てることが可能になります。エネルギーリソースの電力や調整力を、市場価格が高いと予想される時間帯に取引することで、事業者に還元する経済価値を最大化することが可能になります。

2.リソース運転支援機能

需給調整市場や容量市場では、リソースの応動要件(応動時間、継続時間、等)が定められていますが、それに従った運転ができるよう支援、或いは自動制御します。特に、自動制御のニーズは、熟練オペレーターの引退や技能伝承といった社会課題、あるいは電力市場が求める高度な応動要件への対応等を背景に、今後一層高まると考えています。当社グループは長年蓄積したプラントエンジニアリングの知見・実績に基づき、製品品質や安全性への影響を排しつつ、事業者の省力化や市場要件への適合を可能とする様な、プラント制御設計・実装を実現します。

3.市場取引戦略最適化機能

市場価格予測及びリソースの特性や運転制約を基に、どの市場でどの時間帯に電力・調整力を取引すれば最も高い経済効果が得られるか、最適な市場の選択や取引戦略を提案します。日々の複雑な運用の一部自動化も提案します。

当社グループが提供するVPP/DRソリューションの技術構成

VPP/DRソリューションの技術構成

最先端の技術を持つ海外企業との連携

当社グループは、世界の中でも先進的な電力市場である、アイルランド・英国・米国カリフォルニア州・テキサス州・ペンシルベニア州・オーストラリアなどでVPP/DR事業を展開し、事業者向けを中心として数百の設備に実績を有するGridBeyond社と、日本の事業展開について覚書を締結しています。当社グループが持つ産業プロセスや生産設備、蓄電池、自家発電設備の知見と組み合わせることで、事業者の操業への影響を与えずに、エネルギーリソースが持つ潜在価値を最大限に引き出します。
【プレスリリース】

他事業との連携

VPP/DRに用いられる各種予測やリソース運転支援に関する知見・要素技術は、クリーンエネルギー時代の脱炭素ソリューション事業や水素事業とも密接に関係します。具体的には、再生可能エネルギーからの水素・炭化水素製造(Power to X)において重要な、発電電力、市場価格に連動した運用方法の提案により、付加価値向上への貢献が可能と考えています。

事業紹介