建設(Construction)
プラント建設は、工事遂行のための受入準備である現場の事前調査、水の確保、土地の造成、労働者キャンプの設営から始まります。その後、基礎工事、鉄骨およびコンクリート構造物の建設、配管・機器の設置、電気・制御システムの配線・保温・塗装等、プラントの完成まで続きます。これらの各段階を安全、環境、品質、労務、資材といった観点からデジタル技術を駆使して綿密に管理しながら進めていきます。建設が終了した後は、検査をし、試運転が開始されます。
例えば、巨大プロジェクトの建設では、60カ国以上の国籍で120に及ぶ職種の、1日30,000人が遂行しました。 彼らが最大吊り荷重2,000tonクレーンをはじめ100台のクレーン群や無数の建設機械を駆使し、世界の数百社から購入した1,000万点の部品を輸送・加工・組み立てます。その舞台は極寒マイナス50℃のロシアから酷暑プラス50℃のカタールまで世界各地にわたります。
プロジェクト遂行フェーズの中でも最後になるため、設計・調達・その他の要因から予期せぬ課題が発生しますが、計画・管理技術の駆使と関係者の調和と協力で克服し、昇華して完成させます。忍耐と根気が要求される、しかしプロジェクトの最後の至高の達成感を味わえる業務の場でもあります。 また、建設地での熟練工不足を解消するためにモジュール工法※1の採用、現場安全/作業効率改善のためドレスアウト工法※2及び、ラザニア工法※3等、新しい工法を積極的に取り入れて、現場遂行強化にも注力しています。いずれの工法においても、機器、配管、鉄骨、電気、計装、保温など種々の設計、調達品のスケジュールを合わせなければならず、設計、調達、工事間の信頼関係と遂行力が必要となります。
- 建設地とは別の場所で施設構造物(モジュール)を建造、専用船にて建設地に移送し、各モジュールを接合することによりプラントを完成させる工法。現場作業の工数が大幅に削減できる。
- 機器を地上に横たえた状態のまま、接続すべき配管、サポート、ステージ、ラダー、保温などの取り付け工事を済ませ、その後に所定の位置に据え付ける工法。高所作業のリスクを避け、安全かつ効率的に工事を進めることができる。
- 料理のラザニアのように、何層にも重なるプラントの構造物を下から順番に積み上げる施工方法。効率良く安全に工事を進めることができる。
【事例】世界最大規模のエチレンプラントをモジュール工法採用により早期完工

Courtesy of Gulf Coast Growth Ventures
Chiyoda AWPの実践
大型プロジェクトでは膨大な数量の機器・資材が現場に搬入され、工程に従い順を追って組み立てられていきます。さまざまな職種の労働者が効率的に建設工事を進めるには、工事図面や機器・資材をタイムリーに建設現場に届ける必要があります。こうした要求に応えるために、北米の建設業界団体が提言するAWP(Advanced Work Packaging)というプロジェクトマネジメントの手法が広く適用されるようになり、これを実践するための当社グループプロジェクト管理システムがChiyoda AWPです。Chiyoda AWPは、建設業務をワークパッケージ化し、設計、調達、工事、試運転、引き渡しに至るまでをデジタル技術で連携して統合管理し最適化を図っており、工事現場での生産性向上に貢献します。
安全に対する高い意識と無事故・無災害の実績
当社グループが建設において最も大切にしていることは、安全にプロジェクトを遂行することです。豊富なプロジェクト遂行と実績により、様々な角度から現場における安全基準を定め、建設現場では関係者全員に必ず安全に対するトレーニングを行っています。こういった安全への高い意識によって、無事故・無災害の記録を更新しているプロジェクトもあり、顧客から高い評価を得ています。
様々な法規基準の適合
現場遂行にあたっては、現地建築法規・各地の労働・環境・安全・保健・衛生法規などを調査・適合しながら進めます。当社グループはこれらの法規のみならず、各国の国営石油会社、メジャーオイル・カンパニー等顧客独自の技術仕様をはじめ、安全・環境の厳しい基準に合致しながら実績を積んできました。
多様な文化の尊重
大型プロジェクトの建設現場では、多様な国籍の人が時には何万人も集まり、ONE TEAMになってプロジェクトを遂行します。建設段階は、まさに多種多様の基準と人と文化が、世界中から集められた資機材を組み合わせ、ひとつの完成したプラントへと調和させ結晶させていく創造的な営みです。また、人権尊重の啓発を行い、作業員の作業環境改善等を促進しています。当社グループは常にこうした多種多様な人種・文化を尊重しています。