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Sustainability

ステークホルダー
ダイアログ

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千代田化工建設は、2017年度よりサステナビリティに関する有識者との対話、ステークホルダーダイアログを継続して実施しています。
千代田グループ再生に向けた最初の年となる2019年度は、サステナビリティを経営戦略へ統合していくこと、再生計画でも示された人財の高度化について忌憚のない意見をいただきました。
ステークホルダーの期待にできる限り応えていくことが社会との信頼関係を築くと同時に、強い企業体制の基盤となります。ステークホルダーの声をしっかりと事業活動に反映し、エンジニアリングで未来を創造していきます。

2019年度ステークホルダーダイアログ

明治大学 経営学部特任教授 関 正雄 氏

Interview 01

サステナビリティと経営の一体化によりますます
社会から必要とされる企業へ

明治大学 経営学部特任教授 関 正雄 氏

グループとしての再生に向けた最初の年である本年のレポートは、厳しい経営環境にあってもサステナビリティの経営戦略への統合を今まで以上に進め、より一層グローバルな課題に積極的に取り組む意思を明確にしています。
創業以来、エネルギーと環境に関する高い技術を社会のために発揮し続けてきたグループの強みを、これほど必要とされている時代はないでしょう。より一層技術を磨き、ますます社会から強く必要とされる企業として成長して欲しいと思います。

評価すべき点

  • 1.

    2019年7月から発足した新経営管理体制において、山東代表取締役社長COOが自らCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)を兼務することとしたこと。サステナビリティと経営との一体化をより強固なものとするという、社内外に向けた強いメッセージとなっている。

  • 2.

    昨年設置した脱炭素推進室(現:炭素循環事業室)の役割にも注目したい。SDGsの各目標の中でも、目標と現実とのギャップが最も大きく、格段かつ緊急の取り組み強化が求められる気候変動との闘いにおいて、地球環境の未来を創るエンジニアリング会社としての力を最大限に発揮していただきたい。

  • 3.

    具体的な成果として、北海道天塩郡豊富町における世界最大級の蓄電池システムの建設に一括元請けとして取り組んでいることや、離島の災害対策になる利島村での自家消費型太陽光発電システムを納入したこと。様々に異なる地域社会のニーズに応えたソリューションを提供できるのは、これまで世界の各地で実績を積んで培った技術力があるからである。

今後の取り組み強化が必要な点

  • 1.

    技術の強みを生かし社会に価値を提供することによって経営理念を実現するという、再生と未来に向けたビジョンを実現するために、より具体的な取り組み課題やロードマップなどを示すことが必要。また、長期目標の設定にも取り組んでいただきたい。

  • 2.

    昨年度の指摘事項にも真摯に取り組み、人権基本方針を策定して開示したことは大きな進歩である。子供の人権配慮や、武装警備員の地域コミュニティに対する人権配慮に取り組んでいることも評価できる。次のステップとして、バリューチェーン全体における人権リスクの洗い出しなど、人権デューディリジェンスの体制構築に取り組んでいただきたい。

  • 3.

    ステークホルダーへの働きかけや巻き込みには、より力を入れていただきたい。未来社会を先取りするようなプロジェクトの企画や実施においては、必ず様々なステークホルダーの力が必要となるはず。

獨協大学 経済学部教授 高安 健一 氏

Interview 02

柔軟性のある多様な人財育成で
千代田グループでしか創れない未来へ

獨協大学 経済学部教授 高安 健一 氏

千代田化工建設株式会社は2019年5月に「再生計画~再生と未来に向けたビジョン~」を発表し、経営再建への長期的な道筋を示した。リスク管理体制の高度化、EPC遂行管理力の進化、人財の高度化・拡充の3本の柱が、財務指標の改善のみならず非財務指標の充実につながることを期待している。
「再生計画」を実行するのは「人財」に他ならない。課題解決に誠実に取り組む社員こそが、千代田グループの価値創造の源である。人財がいなければ、たとえ高度な技術を有していても宝の持ち腐れになってしまう。
人財育成に関して次の3つの点を考慮して欲しい。第1は、国籍や性別を問わない人財の登用による発想の多様性の確保である。これはCSRバリューの「人の尊重」における「多様な人財の活用」で取り上げられている通りである。第2は、技術トレンドの変化をいち早く察知して業務に活用できる人財の育成である。エネルギーや環境関連の事業は建設、そして稼働期間がかなり長い。他方で、エンジニアリング企業を起源としないAIなどの技術革新は目まぐるしい。第3は、技術以外の分野にも精通し、世の中や人々の生活の長期的な変化を展望できる人財である。例えば、今年誕生した赤ちゃんの生涯に自社の技術がどのような関わりを持つのかを問うことを通じて、得られる発想はないだろうか。顧客企業のその先にある人々の生活を想像することが保有技術の活用につながろう。
事業ポートフォリオに関して、「再生計画」の中で、LNG需要の堅調な伸びを取り込みながらも、太陽光、バイオマス、洋上風力発電、エネルギーマネジメントサービス(EMS)などの地球環境分野を重視していく方針が打ち出された。これらの分野はSDGsや地球環境問題と深く連動している。再生計画の中身と解決すべき世界的な課題は対応している。
SDGsは、法律のように拘束力は持たないものの、それに反すると活動が制約を受けるソフトローになりつつあり、企業として取り組み実績をアピールする必要性が高まっている。今回のサステナビリティレポートに初めて、LNG事業と再生可能エネルギー事業が2030年までに合計で11.8億トンものCO₂削減に貢献するとの試算が記された。ESG(環境・社会・企業統治)投資を呼び込むための有力な指標としても活用できるのではないだろうか。
民間企業に対して、社会的課題を解決するためのイノベーションを牽引して欲しいとの声が日増しに高まっている。千代田グループでしか創れない未来を見たい。世界の期待は大きい。

ステークホルダーメッセージを受けて

IR・広報・CSR部長 中村 薫
IR・広報・CSR部長 中村 薫

弊社の取り組みについて、今回も貴重なご意見を賜り感謝申し上げます。
昨年度、各所属部署でSDGs項目のマテリアリティを洗い出したことにより、社内におけるSDGsへの理解はかなり浸透しています。当社の企業理念がSDGsに直結していることを再認識すれば、社会的課題に対して当社が貢献できることが多いことに気付き、自ずと進むべき道が見えてくると考えています。CSOに就任した社長のもと、エンジニアリング企業として、技術とアイデアで未来への責任を果たすことを常に目指していきます。
引き続き広い視点からご意見・ご指摘を頂戴したく、よろしくお願い申し上げます。