SPERA水素TMで
実現する
ゼロエミッション社会
パリ協定 - 再生可能エネルギーへの期待
エネルギーの世界は、化石燃料から
再生可能エネルギーへシフトしていく。
地球温暖化防止のために、温室効果ガス排出削減についての取り組みを決めた国際的なルールであるパリ協定。この協定の目標は、産業革命前からの地球の気温上昇を2℃より十分低く保つとともに、1.5℃以内に抑える努力をすること、そして21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることです。日本も2050年までにカーボンニュートラルを目指します。
この大きな方針の下、電力についても、現在の石炭、石油、天然ガスのような化石燃料依存から再生可能エネルギーへのシフトが求められています。
再生可能エネルギーを
支える水素
将来、究極のエネルギーシステムである
再生可能エネルギーから
水素をつくり貯蔵・輸送することを、目指す。
しかし、再生可能エネルギーによる電力生産は不安定で、私たちの生活に必要なエネルギーを担うには課題があります。たとえば、天候などによって出力が大きく変動する太陽光発電や風力発電が増えると、余剰電力を貯める仕組みや、逆に足りない分を補う取り組みが必要になってきます。
現在はその不安定部分を化石燃料による火力発電でカバーしていますが、化石燃料に替わるエネルギーとして注目されているのが水素です。
水素はエネルギー化する時にほとんどCO2が発生しない燃料であり、安全にエネルギー化する技術も進められています。環境負荷の低減という観点では、水素は理想の燃料ですが、社会インフラの整備、すなわち、どのように生産し、貯めて、輸送するのか定まっていません。現在、様々な機関や企業が高効率で安全な生産・貯蔵・輸送技術の開発を行っています。
千代田化工建設の目指す
水素サプライチェーン
課題は、水素の輸送をいかに容易にするか。
千代田は、常温常圧で、水素を液体の状態で貯め、運ぶ。
千代田は、水素の貯蔵・輸送についての課題に着目し、水素を貯蔵・輸送する媒体となるメチルシクロヘキサン(MCH)から水素を得る高性能な触媒の開発を2002年から開始して、2011年までに、商用使用のできる脱水素触媒の開発に成功しました。これにより、水素活用における課題の一つである、水素の安全かつ容易な大量輸送が可能になりました。そして、この水素輸送方法のブレークスルーにより、新しいエネルギー供給の形である水素サプライチェーンの構築に目途がたちました。
水素事業部 部長代行の長井雅史はこう語ります。
「私たちは、有機ケミカルハイドライド法を採用し、水素を安全に貯蔵・輸送します。まず、トルエン(液体)と水素(気体)を化学反応させて、MCH(液体)を生成します。この水素を含んだ液体は、同量の気体状水素と比べると約500分の1の体積に縮小されます。これにより、一度に大容量の水素を常温・常圧で貯蔵・輸送できるようになります。私たちはこの安全に水素を貯蔵・輸送できるMCHを『SPERA水素』と呼んでいます。
私たちの目指す水素サプライチェーンは、化石燃料由来の水素や、オーストラリア、ニュージーランドなどで再生可能エネルギーから生産した水素を『SPERA水素』化し、それを日本をはじめとする水素需要国へ輸送して、水素として使う現場まで安全に運び、各地の発電所や水素ステーション、産業需要家や分散型コジェネなどで効率よくMCHから水素を分離(脱水素)して利用します。将来的には、再生可能エネルギー由来の水素利用こそが地球温暖化防止策や非化石燃料化に必要であると考えています。」
ゼロエミッション社会の
実現へ
千代田は2050年のカーボンフリーな水素社会の実現に向けた
取り組みを着実に進めています
2020年5月、千代田が組合員企業として参加するAHEAD(次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合)は、川崎臨海部にある東亜石油株式会社京浜製油所において、脱水素プラントから、同製油所内にある水江発電所のガスタービン向けに、ブルネイで生成したメチルシクロヘキサン(MCH)*から分離した水素の供給を開始いたしました。
このガスタービンへの水素供給開始は、海外から輸送された水素の国内初の発電利用となり、水素社会の実現に向けた重要なマイルストーンを達成したことになります。
日本政府が掲げる2050年の水素社会実現に向け、当社は引き続き水素サプライチェーンの実証運用等を通じ、積極的に取り組んでまいります。
* メチルシクロヘキサン(MCH)
トルエンと水素の結合により生成された、常温・常圧で取り扱うことのできる液体。修正液の溶剤等に幅広く使用されている。