千代田化工建設で歩むキャリア

リードエンジニアとして初めて設計したプラントがうなりをあげて稼働した瞬間の感激を生涯忘れない。

人事総務本部 人財開発責任者 1997年入社 工学研究科 修了 所田 綾子

新人研修に参加したマレーシアの建設現場でかけがえのない財産を得た。

LNG(液化天然ガス)をはじめとするプロセスプラントの設計業務では、大学で専攻した化学工学の知識と技術がコアになる。それが、CHIYODAを志望した理由です。海外でスケールの大きな仕事ができるという点にも魅力を感じていました。
入社後はマレーシアへ渡り、建設中の石油製油所プラントで新人研修に参加しました。「プラントのEPC(設計・調達・建設)業務はいつも計画どおりに進むものではなく、現場のエンジニアは予期できない問題に何度も直面する。その問題がなぜ発生するのか。どうやって乗り越えればいいのか。ここで学んでほしい」。開始にあたり、そう上司に言われたことを憶えています。

研修では、『工事のパンチリスト』(顧客から手直し・修正を指摘された箇所を記載したリスト)担当でしたので、配管工事を担当するサブコントラクター(下請となる建設工事会社)と顧客の間を行き来しながら走り回っているうちに1日が過ぎていきました。先輩社員によるレクチャーの時間もあり、技術的なことやEPCの遂行について学びました。現場で大規模な装置の搬入やマイルストーン的な作業が行われる時には見学に行き現物を見る経験をしました。圧倒的なスケールのプラントが完成に近づくにつれてどんどん力がわいてくるような感じで、3カ月間の研修が終了する頃には「プラント設計を生涯の仕事にする」という覚悟が固まっていました。

建設現場での新人研修は、現在も行われています。海外への渡航が難しい状況ですが、CHIYODAの建設プロジェクトは国内外を問わず進行していますので、この仕事を選んだ皆さんが現地の人々と文化に触れながら多くを学べるように願わずにはいられません。
私は研修終了後も現地に残り、メカニカル・コンプリーション担当(プラントを構成する装置や資材が設計図面どおりに組まれているかを確認する)として4カ月間、実務経験を積みました。この現場には配管、制御、機械、電気など、各分野のスペシャリストが100人以上集まっていて、私の顔と名前を覚えてくれた先輩たちとは今もアドバイスをいただける関係を継続していますので、人脈というかけがえのない財産を得た仕事と言えますね。

プロセスエンジニアとして成長をめざすなら、CHIYODAしかない。

帰国後は本社のプロセス設計部に配属となり、プロセスエンジニアとしてのキャリアをスタートしました。プロセスエンジニアが担うのはプラント設計における最上流工程で、装置の構成や運転条件を決め、PFD(プロセスフローダイヤグラム)と呼ばれる図書を作成します。

そのなかでも忘れられないのは、入社5年目に担当した国内の大手石油会社向けガソリン脱硫装置の建設です。リードエンジニア(主担当)として初めてプロセス設計を任せてもらったのがこのプロジェクトでした。最も困難だったのは、経験不足による遂行の難しさとモチベーションの維持でした。入社5年目という早い時期にチームを率いて仕事ができることを本来は喜ぶべきなのですが、まだ経験が十分ではなく、今から振り返れば自分の理想通りに仕事を進める事ができないことが多かったです。

任された以上は頑張ろう。そう気持ちを奮い立たせても、1日で経験値が高まることはなく、図面の見落としや計算などの単純ミスもありました。自分の力不足に情けない思いで残業した日もあります。
それでも頑張れた理由は2つあります。ひとつは、ミスをしても「大丈夫」「せっかくだから楽しもう」と声をかけて支えてくれた上司、チームのメンバーの存在、プロジェクトマネジャー、そしてお客さまの想いに応えたいと思ったことです。もうひとつはCHIYODAで一人前のプロセスエンジニアになるという自分の目標があったからです。

このガソリン脱硫装置は約2年で完成しました。私はプロジェクトの終盤で育児休業を取得しましたが、半年で復職してオイルイン(プラントの稼働)に立ち会いました。完成したばかりのプラントはピカピカで見とれるほど美しく、うなりをあげて稼働した瞬間、お世話になった方々の顔が次々と浮かんで胸が詰まりました。そしてCHIYODAに入社しこの仕事を選んで良かったと心の底から思いました。

最新技術と知識をベースに業務遂行力を高め、組織経営力あるプロフェッショナル集団を目指す〜人財開発責任者としての取り組み〜

その後も私はプロセス設計部で国内外の石油プラントの積算・設計業務を担当し、2015年にセクションリーダー(課長)に昇格しました。プロセス設計部では、海外案件も日本で進めるケースが多いですが、建設予定地を視察するスタディ業務や学会で海外に渡ることもあります。スタディ業務で印象に残っているのはイランの石油プラントを視察した時のこと。戦争で爆撃を受けたプラントの跡地などを見て心を痛めながらも、現地の人々のホスピタリティに感激しました。また欧米の学会では、CHIYODAのエンジニアというだけで初対面のゲストが声を掛けてくれるので、参加するたびに歴史を作ってきた先輩たちの存在を実感していました。

海外案件の遂行中はもちろんですが、国内顧客案件でも海外の技術ライセンサーとのやり取りや本社においての海外出身のエンジニアや設計子会社であるCPh(Chiyoda Philippines Corporation) のエンジニアとの協業などもあり、このような業務に従事する場合は、英語が必要です。これまでも業務の中で会得する機会もありましたが、セクションリーダーとなり外国人を含むチームのマネジメントを担ってからより本格的に始めました。方法はオンライン学習や英語の読み物やニュースを見るなど4年ほど継続しています。まだまだ思ったことをうまく伝えられない時もありますが、業務においても前よりスムーズに意思疎通ができることを感じています。

2020年の秋からは人事総務本部に異動し、主に技術系の職種に特化した人財開発責任者(A職向けHuman Resources Officer, HRO)となりました。人が最大の資産であるエンジニアリング会社において、人財育成や能力開発は非常に重要です。業務遂行力に加え、組織経営力をもったプロフェッショナル集団となることを目指し、それに向けて人財開発の施策策定・運用を実施します。弊社は世に先んじた2018年にCHRO(Chief Human Resources Officer)という全社人財開発責務役員を任命しており、私と他3名のHROがCHROの元、これに取り組んでいます。この業務は私にとって新しい挑戦であり、技術畑から異なる分野への異動でしたが、日々多くの学びを得ています。私のキャリアはまだまだ続いていきます。チャンスがあれば海外に出て、エネルギー、化学、石油化学など、CHIYODAが最も得意とするハイドロカーボン分野のプラント設計に携わりたいですね。

career path

1997年
マレーシア向け 製油所建設プロジェクトで新人社員研修とメカニカル・コンプリーションを担当
1998年
プロセス設計部のエンジニアとして国内の石油プラント建設プロジェクトの積算・設計業務を担当
2001年
国内の製油所向けガソリン脱硫装置建設プロジェクトで主担当に。進行中に初めての育児休業を取得(6カ月で復職)
2015年
プロセス設計部のセクションリーダー(課長)に就任。10名程度のチームを率いて国内外の石油プラント建設プロジェクトの積算・設計を担う
2020年
人事総務本部へ異動。技術職に特化した人財開発責任者に