中東をはじめ、世界各国におけるLNGプラントの建設実績と事業スケールの大きさに惹かれたことが私の志望動機です。きっかけは、大学のゼミ仲間に誘われて参加したレバノン・パレスチナ難民キャンプでのボランティア活動です。途上国の経済状況を変えられる企業はどこか。貧困に苦しむ人々を救える仕事は何かと考え、プラントエンジニアリング業界にたどり着きました。
入社後は法務部に配属。最初の仕事は、LNGプラントとして世界最大規模(当時)のカタール向けLNGプラント建設に関わる損害保険の手配でした。
海上輸送中のプラント機器の損傷、自然災害による建設中のプラント機器の損壊、隣接するプラントに影響をおよぼす事故。プラント建設はさまざまなリスクを伴います。それらのリスクに備え、受注前にはプロジェクトに適した保険の条件を検討し、見積りを実施します。受注後には正式契約に向けた見積り及び契約を担当していました。
その後、ロシア(サハリン)向けLNGプラントの保険求償業務へ移行。保険求償とは、輸送中や建設現場、稼働中の現場で何らかのアクシデントが発生した際、保険会社に対して損害額に対する保険金支払いを求めることです。求償にあたってはアクシデントの状況や原因、損害額等を正確に把握し保険会社に説明する必要があるため、保険会社の担当者と一緒にサハリンへ渡り、度々現地で交渉を行いました。
保険求償で忘れられないのは、プラント用の高額機器が船舶火災で損壊したときのこと。納期と予算を守るため、当社は買い換えではなく修理を選択したのですが、修理費用が高額なので保険会社はその妥当性を認めてくれず、やがて膠着状態に。その状況を打破するため、欧州のメーカーに赴き直接修理費用の説明を聞き、損害査定人と保険会社を説得するよう命じられたのが、入社2年目の私でした。
早い時期から重責を担うのはCHIYODAの社風であることと、笑顔で送り出してくれた上司に少なからず勝算があったことは、今ならわかります。でも当時の私は気持ちに余裕がなく、初めてのビジネスクラス搭乗となった機内でも設計図面を広げてメーカーへのヒアリング、損害査定人と保険会社への説明の練習を繰り返していました。だからこそ保険会社に「CHIYODAさんのこれまでの説明に納得しました」と言っていただき、満額の支払いが認められたときは心の底からホッとしました。
嬉しさが込み上げてきたのは帰国後です。プロジェクトのマネージャー陣や上司・先輩たちの喜ぶ声を聞き、表情を見て、大きな仕事をやり遂げたのだと実感しました。保険に関わる仕事に対する自信を持つことができ、よりプロジェクトの近くで働いてみたいとも感じるようになりました。