千代田化工建設で歩むキャリア

キャリアステップのプロセスは多彩。文理問わずプロジェクトの中枢で活躍できる。

NFEチーム 2004年入社 社会科学部卒 高田 真理子

高額機器の修理費用の妥当性を証明するため、一人で欧州へ飛んだ。

中東をはじめ、世界各国におけるLNGプラントの建設実績と事業スケールの大きさに惹かれたことが私の志望動機です。きっかけは、大学のゼミ仲間に誘われて参加したレバノン・パレスチナ難民キャンプでのボランティア活動です。途上国の経済状況を変えられる企業はどこか。貧困に苦しむ人々を救える仕事は何かと考え、プラントエンジニアリング業界にたどり着きました。

入社後は法務部に配属。最初の仕事は、LNGプラントとして世界最大規模(当時)のカタール向けLNGプラント建設に関わる損害保険の手配でした。
海上輸送中のプラント機器の損傷、自然災害による建設中のプラント機器の損壊、隣接するプラントに影響をおよぼす事故。プラント建設はさまざまなリスクを伴います。それらのリスクに備え、受注前にはプロジェクトに適した保険の条件を検討し、見積りを実施します。受注後には正式契約に向けた見積り及び契約を担当していました。

その後、ロシア(サハリン)向けLNGプラントの保険求償業務へ移行。保険求償とは、輸送中や建設現場、稼働中の現場で何らかのアクシデントが発生した際、保険会社に対して損害額に対する保険金支払いを求めることです。求償にあたってはアクシデントの状況や原因、損害額等を正確に把握し保険会社に説明する必要があるため、保険会社の担当者と一緒にサハリンへ渡り、度々現地で交渉を行いました。

保険求償で忘れられないのは、プラント用の高額機器が船舶火災で損壊したときのこと。納期と予算を守るため、当社は買い換えではなく修理を選択したのですが、修理費用が高額なので保険会社はその妥当性を認めてくれず、やがて膠着状態に。その状況を打破するため、欧州のメーカーに赴き直接修理費用の説明を聞き、損害査定人と保険会社を説得するよう命じられたのが、入社2年目の私でした。

早い時期から重責を担うのはCHIYODAの社風であることと、笑顔で送り出してくれた上司に少なからず勝算があったことは、今ならわかります。でも当時の私は気持ちに余裕がなく、初めてのビジネスクラス搭乗となった機内でも設計図面を広げてメーカーへのヒアリング、損害査定人と保険会社への説明の練習を繰り返していました。だからこそ保険会社に「CHIYODAさんのこれまでの説明に納得しました」と言っていただき、満額の支払いが認められたときは心の底からホッとしました。
嬉しさが込み上げてきたのは帰国後です。プロジェクトのマネージャー陣や上司・先輩たちの喜ぶ声を聞き、表情を見て、大きな仕事をやり遂げたのだと実感しました。保険に関わる仕事に対する自信を持つことができ、よりプロジェクトの近くで働いてみたいとも感じるようになりました。

時短勤務と在宅ワークを併用して世界最大規模のLNGプロジェクトを遂行。

プラント建設のスケジュールとコストを管理するプロジェクトコントロール担当としてのキャリアのスタートは、入社5年目。サウジアラビアの製油所向け重質油分解装置のEPC(設計・調達・建設)プロジェクトでした。最初の仕事は、全工程のプログレス(進捗)管理のため、プログレス計算の手順書を作成しプログレスの計画値を立案、そしてそれらについてお客さまと合意することでした。プログレスは、週次、月次で計画値と比較しながらモニタリングし、状況をお客様とプロジェクトのマネージメント向けに報告します。計画からの逸脱があった場合には、対策を立てたり、計画自体を見直したりすることもあります。正しく進捗状況を把握するためには、正しい計画の立案が不可欠ですが、それまで使用したことがほぼなかった表計算ソフトを操作しての計画立案は想像以上に大変でした。
また、プログレスは進捗状況把握の目的に加え、お客さまからの毎月の入金額の算出にも使用されるため、プロジェクトのキャッシュ・フローも左右します。慣れない用語、ソフトと格闘しながらの業務でしたが、目の前の仕事に全力で向き合うことによって成長できたと思います。

その後は1年間の産前産後・育児休業を経て、カナダ向けLNGプラントのFEED(基本設計)プロジェクトにてスケジュールコントロールを担当。サウジアラビアのプロジェクトで担当したのはスケジュールコントロールの業務の一部でしたが、ここでは50数カ月におよぶEPC全工程のスケジュールをジョイントベンチャーパートナーのメンバー達と共に立案しました。

プロジェクト完了後は、スケジュールと並ぶプロジェクトコントロールの軸と位置づけられているプロジェクトの積算・コストコントロールを担うセクションへ。プロジェクトの受注を目的とした積算業務や遂行中のプロジェクトのコストレビューからスタートして、2021年からはカタールLNGプラントのEPCプロジェクトチームに加わりコスト管理を担当しています。

今回は、入社初年度に損害保険の手配業務で関わったプラントの2倍の生産量を誇る世界最大規模のLNGプラント。初めてのコストコントロール業務であり、またプロジェクトの規模が大きく、プロジェクトのコスト変動が会社に与える影響も大きいため緊張の連続ですが、お金とスケジュールをモニタリングして全体を見渡すというプロジェクトコントロールの醍醐味、面白さも今までないレベルで実感できているので毎日が充実しています。

同時に、育児と仕事を両立するため時間短縮勤務をさせていただいているなかで、大きなプロジェクトを任せ、サポートしてくれている上司と仲間に感謝しています。今は在宅勤務が可能となり育児の負担も軽減できているので、担当業務をしっかりやり遂げて、完工時には皆さんと喜びを分かち合いたいですね。

日本にいながら仕事とプライベートの両方で国際的な人間関係を構築。

私のキャリアステップに共通するのは、興味が湧き「やってみたい」と意思表示したらそれが次の仕事になったということです。私の上司は私の希望を理解した上で受注直後などのタイミングを見計らって「このプロジェクトでやってみないか」と声をかけてくれたので、異動でストレスを感じたこともありません。どの部署でも新人時代のように1から学ぶことができました。

キャリアステップのプロセスが多彩なこともCHIYODAの特徴だと思います。私の場合、サウジアラビアのプロジェクトチームへの異動は1ヵ月間限定のはずでしたが、終了後にこう言われました。「プロジェクトコントロール部へ戻る予定にはなっているけれど、このままプロジェクトで働きたいという希望があるのであれば、残って経験を積んでみてはどうか。どうするかは君に任せる。」私は自分自身で残ると決断し、それから2年間、このプロジェクトで仕事を続けました。文系出身の社員も受け入れてもらえ、プロジェクトの中枢でキャリアを積むチャンスを与えてもらえたことが嬉しかったです。

国際的な人間関係も大きく広がりました。プロジェクトコントロールの職場は工事現場以外は基本的に横浜本社ですが、CHIYODAのプロジェクトは海外のエンジニアリング会社とのジョイントベンチャーがほとんどです。受注すると1社あたり数十名という規模でパートナー会社の担当者が着任し、2年間は同じフロアで一緒に仕事をします。また同僚にも外国出身の方が多く、外国人の方と共に働くことがCHIYODAのオフィスでは日常茶飯事です。

そのような環境であるため、週末や連休を一緒に過ごす機会は多く、家族ぐるみのお付き合いに発展することも珍しくありません。私自身、これまでに欧米、中東、アジアのさまざまな国と地域から来た人々と交流を深めてきました。フランス人の方から日本式に金封で出産祝をいただいたこと。仕事を終えて帰国したカナダ人の方が再来日した際に家族連れで遊んだことなど、思い出は尽きません。

国際的な人間関係を構築するには語学力が必要と考える方は多いと思います。しかし私は、英語を本格的に勉強したことはありません。学生時代の短期海外留学、入社後の海外出張とも「行けば何とかなる」の気持ちで出かけて多くを学び、現在も業務を通じて身につけた語学力で仕事を進めています。ですからプラントエンジニアリングのようなグローバルな業界をめざす皆さんには、大切なのはできるかどうかではなく、やりたいという気持ちです、と伝えたいですね。

career path

2004年
法務部配属
カタール向けLNGプロジェクトの損害保険の⼿配、ロシア向けLNGプロジェクトの保険求償等を担当
2009年
プロジェクトコントロール部に異動
サウジアラビア製油所向け重質油分解装置EPCプロジェクトのスケジュールコントロールを担当
2011年
産前産後・育児休業を取得
2014年
カナダ向けLNGプロジェクト(詳細設計フェーズ)のスケジュールコントロールを担当
2015年
コストエンジニアリング部⾨に異動
プロジェクトの積算業務、遂⾏中プロジェクトのコストレビューを担当
2017年
産前産後・育児休業を取得
2021年
カタール向けLNGプロジェクトのコストコントロールを担当